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食事で腸内フローラを育てる

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私たちが食事で摂取した食物は胃で消化・殺菌された後、小腸、大腸に送られ、さらに消化、さまざまな栄養素として吸収されます。ここでは、プレバイオティクスを中心に、食物からの栄養素によって腸内フローラを育てる方法を考えてみたいと思います。

 

アンチからプロ。そしてプレバイオティクスへ

腸の健康を取り戻すため昔は腸内の細菌を殺してしまうアンチバイオティクス(抗生物質)という考えが主流でした。

その後、1989年イギリスの微生物学者Fullerにより「腸内フローラのバランスを改善することにより人に有益な作用をもたらす生きた微生物」という意味のプロバイオティクスが提唱され、腸にビフィズス菌や乳酸菌、酪酸菌などの善玉菌を直接送り届け、共生させることで腸の健康を保つという考えが普及しました。

そして現在は腸内フローラに栄養を送り、もともと根付いている善玉菌を育て腸内環境を整えようというプレバイオティクスの考えが広まっています。

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大腸の奥に栄養を届ける

腸内フローラの中で最も有用な働きをする善玉菌はオリゴ糖や食物繊維を栄養に増殖します。

これらの栄養を腸の奥まで届けようというのがプレバイオティクスの最新の考え方です。なぜなら腸内フローラは小腸などの入り口よりも、大腸の奥(下行結腸以降)により多く群生し、そのケアこそが最も効果的と考えられるからです。

「大腸の入り口付近に棲息する細菌は約1万、大腸の奥には約100兆。腸内環境を改善するには、(より大きな効果が期待できる)大腸の奥で善玉菌を優位にしておくことが大切です。しかし大腸の奥は善玉菌のエサが届きにくいうえ、悪玉菌が好むアルカリ性に傾きやすいんです」
▲出典:株式会社マガジンハウス クロワッサン2016年6月10号「大腸の奥で善玉菌を元気に!新食物『スーパー大麦』に注目」

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じつはプロバイオティクスにより、口から摂取した善玉菌を腸に届けようとしても胃酸や胆汁酸によって多くが分解されてしまいます。またプレバイオティクスでも、善玉菌の栄養となるオリゴ糖はもともと分解されにくい栄養素ですが、小腸、大腸前部を通った後では、さすがに腸の奥まで到達できる数は限られてしまうのです。

では善玉菌のエサとなるオリゴ糖や食物繊維を腸の奥まで届けるにはどうしたらよいのでしょう。

 

オリゴ糖をたくさん含む食物は?

オリゴ糖は糖質の一種です。糖質のグループにはオリゴ糖のほかでんぷん、キシリトール、クエン酸、砂糖、麦芽糖、ブドウ糖、果糖などが含まれています。そのうち砂糖、麦芽糖、ブドウ糖、果糖などのことを糖類と呼びます。ただ同じ糖類でもオリゴ糖のカロリーは砂糖の約2分の1。虫歯になりにくいことでも知られています。健康にとてもよい“糖分”なのですね。

オリゴ糖の1日の摂取目安は「2~10g」(*1)です。特別なものではなく、私たちがよく知る食物に含まれています。たとえば、ごぼうには「100g当たり3.6g」(*1)、たまねぎには「100g当たり2.8g」(*1)含まれています。

gobohtamanegi▲(左)ごぼうがたくさん食べられるきんぴら(右)たまねぎ

このほかにんにく、エシャロット、アスパラガス、きゃべつ、とうもろこし、ねぎなどの野菜類、大豆(納豆、きな粉、味噌)などの豆類、はちみつ、バナナや牛乳などにも多く含まれるとされています。

調理法はごぼうの場合「40度~50度の湯におよそ5分浸した後、きんぴらごぼうなどにする」(*1)とデンプンがオリゴ糖に分解されより多く摂取できるようです。

また「焼きバナナ」(*1)も同じ原理で効果があるとされています。

オリゴ糖を腸の奥まで届けるには、こうした食物をたくさん食べればよい、ということですね。でも、じつはもっと効率よく摂取できる方法があるんです。

▲出典:*1 テレビ東京「主治医が見つかる診療所“腸内フローラ”」2015年6月1日放映

 

食物繊維をたくさん含む食物は?

食物繊維には水溶性と不溶性がありますが、腸内フローラを育てるためには水溶性食物繊維が重要です。水溶性食物繊維は小腸の中でゲル状のかたまりとなり食物を包み込む働きを持っています。そのため腸によるオリゴ糖の消化吸収速度を遅らせる効果があります。つまりオリゴ糖と水溶性食物繊維をいっしょに食べることで、より効率的に善玉菌のエサを腸の奥まで届けることが可能になるのです。

水溶性食物繊維を多く含む食物にはエシャロット「100g当たり9.1g」(*2)や大麦(押麦)「100g当たり6.0g」(*2)、にんにく「100g当たり3.7g」(*2)、ごぼう「100g当たり2.7g」(*2)、プルーン(ドライ)「100g当たり3.4g」(*2)、アボカド「100g当たり1.7g」(*2)、おくら「100g当たり1.6g」(*2)、納豆「100g当たり2.3g」(*2)などがあります。
▲出典:*2 かんたん!栄養andカロリー計算 栄養素別食品一覧

ごぼうや納豆、エシャロットなどはオリゴ糖も多く含み、大腸奥の腸内フローラの育成には効果が見込める食物と言えるかもしれません。

gobohnattohesharot▲(左)ごぼう(中央)納豆(右)エシャロット

 

危険な炭水化物抜きダイエット

ちなみに炭水化物から食物繊維を取り除いたものがオリゴ糖を含む糖質です。

「糖質オフ」「炭水化物抜き」と呼ばれるダイエット方法が流行し、悲しいことに健康を害し亡くなってしまった方もいらっしゃいます。炭水化物や糖質にそもそも腸内フローラに不可欠なオリゴ糖が含まれているのですから、それを制限してしまうことがいかに危険か、おわかりいただけると思います。

 

大腸奥の腸内フローラを育てるスーパー大麦

さて善玉菌のエサとなるオリゴ糖と水溶性食物繊維を同時に摂れるごぼうやfflora_tabete納豆、エシャロットなどを紹介しましたが。

さらに腸内フローラの育成によい食物として「スーパー大麦」が注目されているのをご存じですか。大麦(押麦)は水溶性食物繊維をたくさん含むものとしてすでに紹介しましたが、スーパーが付く大麦とはいったいどんなものなのでしょう。

スーパー大麦はオーストラリア連邦科学産業研究機構Commonwealth Scientific and Industrial Research Organisation=CSIRO)が開発した非遺伝子組み換え大麦です。普通の大麦と比べ水溶性食物繊維が2倍、レジスタントスターチ(難消化性でんぷん)が4倍含まれます。レジスタントスターチは健康なヒトの小腸内で消化・吸収されにくいでんぷん性の広義の食物繊維です。水に溶けず、善玉菌の栄養となります。

つまり善玉菌の栄養となる食物繊維が「スーパー入ってる」大麦(押麦)ということなんですね。オリゴ糖を含む食物といっしょに食べれば、たくさんの食物繊維で包み込み、より確実に腸内フローラに届けてくれるというわけです。

 

 

プロとプレが合体したシンバイオティクス

ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌を直接摂取するプロバイオティクスと、善玉菌のエサとなるオリゴ糖や食物繊維を摂取するプレバイオティクスの両方を同時に行うのがシンバイオティクス。イギリスのギブソン博士が1995年プレバイオティクスとともに提唱した、腸内環境を整えるより効果的な方法として知られています。

善玉菌は腸内を弱酸性の状態にします。それは悪玉菌にとって苦手な環境。善玉菌を直接送り込むことで悪玉菌の繁殖を抑え、一方で栄養を与えて善玉菌を育てようというのがシンバイオティクスの考え方です。

ビフィズス菌と乳酸菌と酪酸菌、オリゴ糖と食物繊維、それぞれバランスよく食べることが大事と言えるでしょう。

ここでは説明していませんが、ビフィズス菌、乳酸菌、酪酸菌についても、どんな食物に含まれているか、ぜひチェックしてみてくだいね。

 

ビフィズス菌をたくさん含む食物は?
乳酸菌をたくさん含む食物は?

 

 

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