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恐い!ストレスが腸を弱らせ、こころやからだの“ハリ”まで奪ってしまう

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腸は「第2の脳」と呼ばれています。こころの安定に欠かせないセロトニンというホルモンの大部分を腸が作っているのです。セロトニンはまたアンチエイジングにも重要な役割を担う物質。でも、腸はストレスに弱く、現代人はセロトニンの産生が滞りがちです。ここではストレスと腸の関係をひもとき、ストレスへの最新の対処法をご紹介します。

 

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ストレスが重なると、どうしておなかの調子が悪くなるの?

stress_kaisetsuヒトはストレスを感じると抵抗するため副腎髄質という部位からアドレナリンを分泌します。それは交感神経を刺激し、血圧の上昇や心拍数の増進を招きます。

腸には多くの血管や神経が集中していて、アドレナリンの分泌により血液の流れが活発になると最初は腸も活性化しますが、しばらく続くと腸のぜん動運動に障害が発生します。過剰な緊張によって腸管の動きがマヒし、けいれんしたような状態になってしまうのです。

また神経作用により胃液などの消化液の分泌コントロールが狂うことで腸内細菌(腸内フローラ)のバランスが崩れ、悪玉菌が増殖してしまいます。

これらの作用は便秘や下痢、ガス(オナラ)の発生などのほか大腸がんや腸炎など疾病の原因に。腸管の運動障害は腸閉そくに発展しかねません。

さらにアドレナリンはO157を代表とする腸管出血性大腸菌と分子構造が似ており、ストレスに対抗しようと誤って増産されることが知られています。それは腹痛や下痢を引き起こします。

加えてストレスはだ液の分泌を阻害するため、口の中で病原性のバクテリアが繁殖しやすくなります。悪玉菌の増殖によって抵抗力の弱った腸に、それが食物とともに運ばれ、新たな脅威にさらされることになるのです。

 

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こころを安定させる幸せホルモン・セロトニンは腸でつくられる

アメリカの解剖細胞生物学教授マイケル・D・ ガーションが1980年代に発表した学説によると「腸は第2の脳(セカンドブレイン)」と呼ぶべき存在なのだそうです。脳内の神経伝達物質の一つであるセロトニンの95%は腸で作られると言います。

stress_girlセロトニンはこころの緊張をやわらげる物質で、精神の安定に深く関わります。別名「幸せホルモン」とも呼ばれ、セロトニンが不足すると感情のコントロールが効かなくなり、いらいらや不安が解消できず、情緒不安定になってしまいます。それはうつ病の引き金にもなるものです。情緒不安定やうつ病は自律神経に作用し、腸の活動を阻害します。

自律神経は「緊張状態を作る交感神経」と「リラックス状態を作る副交感神経」がバランスよく作用することで精神や体調を維持しています。特に胃腸などの消化器官はその活動が「交感神経によって抑制」「副交感神経によって促進」される関係にあります。この自立神経のバランスの乱れが腸に不調をもたらし、たとえばセロトニンの鎮静効果を上回ると自律神経失調症を発症するとされています。

stress_jiritsushinkeiストレスによって腸の活動が衰えるとセロトニンの産生が減少し、自律神経が乱れ、あるいは乱れを抑える力が弱くなります。それがさらに腸を弱めることになり衰弱の連鎖を引き起こします。また便秘や下痢は自律神経を介して脳にストレスとなって作用します。こうした悪循環が腸をますます弱めることになるのです。

同氏によると、腸はたとえ脳と遮断されても単独でほかの消化器官や臓器と自律神経回路を通じて指令が出せるようになっているそうです。「第2の脳」と呼ぶべきもう一つの根拠ですが、腸の健康維持がからだ全体におよぶ極めて大事なことであることが理解できます。

 

セロトニンが不足するとアンチエイジングのさまたげに

筋肉には抗重力筋(こうじゅうりょくきん)と呼ばれるものがあるのをご存じですか。重力に抗って姿勢や体型を維持するための筋肉をまとめてそう呼びます。主なものは首や背中、おなか、オシリ、太もも、ふくらはぎなどについています。

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ヒトは二足歩行を始めてから「正しく立つ」ために地球の重力と戦ってきました。猿からヒトへの人類進化の図をイメージしてみてください。最初はひざや腰が曲がり頭が前に突き出しています。そこからやがて膝が伸び、腰が伸び、垂直になっていく。その過程は「正しく立つ」ための抗重力筋の進化の歴史でもあったわけです。抗重力筋が発達したおかげで、現代人は大きな頭脳―全体重の約10分の1もの重さ―が持てるようになったのですね。

stress_feceこの抗重力筋は顔にもあります。眼輪筋(がんりんきん)、頬骨筋(きょうこつきん)、咬筋(こうきん)がそれです。顔の各部を固定するだけでなく眼や口の働き、表情を作るのにも欠かせない筋肉です。

加齢により抗重力筋が衰えると猫背や腰の曲がり、ぽっこりおなか、オシリの垂れなどのからだの変化のほか、表情が乏しくなり、顔のシワやたるみ、眼のクマなどとなって現れます。また正しい姿勢の維持がむずかしくなることで、転びやすくなったり、疲れやすくなってしまいます。肩こりや腰痛の原因にもなります。代表的な老化現象が次々と引き起こされてしまうというわけです。

じつはこの抗重力筋に緊張を与え働かせているのが腸の作り出すセロトニンなのです。つまり抗重力筋の衰えはセロトニン分泌力の衰えでもあるのです。若々しい容姿を保つためにも腸の健康がとても大切なんですね。

 

ストレス解消に有効な二つの方法

では私たちはどのようにストレスから腸を守ればよいのでしょう。腸内フローラを強化し食生活や生活習慣に気を付けるのはもちろんですが、ここではストレス自体を軽減する最新の方法をご紹介いたします。

それは「ストレスコーピング」と「マインドフルネス」と呼ばれる手法です。

 

ストレスコーピング

ストレスコーピングとは認知行動療法の一つで、ストレス対策に特化したものです。
ストレスは主に三つのステップで構成されています。それらを受け止め、評価し、自覚的に対処することをコーピングと呼びます。英語のcope=「難事を上手に処理すること」から派生した言葉です。

それぞれのステップに対処法があります。

 

【ステップ1】ストレッサー

ストレスには原因があります。ストレッサ―(ストレスの素)を取り除く、馴れる、回避するコーピングを行いましょう。

たとえば友人から急にショッピングのお誘いがあったとします。でもあなたは疲れていて本当は家でゆっくり休みたい。どう答えますか。

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A.ウソの用事を作って拒否する(攻撃的対応)
友人に対して後ろめたい気持ちが残ります。そのウソがバレないか気を付けなくてはならないのもこころの負担になります。相手を否定・無視ばかりしていては友好な人間関係は築けません。

B.いやとは言えず渋々了解する(自己否定的対応)
争い事が苦手で断る勇気がなく、すぐに相手の主張を受け入れてしまうのも、またストレスにつながります。自分の気持ちに正直ではないことで自己嫌悪に陥ることになるでしょう。

C.疲れていることを正直に説明し、友人と折り合いを図る(自己主張的対応)
自分の状況を正直に相手に伝え、理解を得ようと努力します。相手を尊重し、相手の意見を引き出し、うまく折り合える地点を見つけ出すことが重要です。たとえば「来週は忙しくないからと日程を変える提案をしてみる」「本当はお話がしたいだけかもしれないので、うちでお茶でもしない? と別の提案をしてみる」など選択肢を用意するとよいでしょう。相互理解がおつきあいのストレスを解消してくれます。こうした手法は専門家によって「アサーティブ(自己主張)な対応」として推奨されています。

 

【ステップ2】認知・評価

positiveストレスの要因を視点を変えて、別のものとして認知、その評価を変えることによるコーピングです。たとえば別の価値に置き換え、長期的な視野で、ほかの人との関係性までにらみ、その要因に自分にプラスとなる点はないか、前向きになれる点はないかを考えてみることが大切です。

ある有名お笑いタレントは「生きてるだけで丸儲け」と言い切ります。またあるホステスさんは名刺に「死ぬこと以外はかすり傷」と刷り配っています。またある人は「他人に腹が立ったら、そんなことを考えるほどヒマな自分を戒める」と言います。「憎らしい人も今頃スイーツでも食べてニンマリしていると思うと一人怒っている自分がバカらしくなりスッと治まる」と話します。こうしたポジティブな発想こそストレスを寄せ付けない秘訣といえるかもしれません。

 

【ステップ3】ストレス反応

nightskyストレスを癒し、発散するコーピングです。
まずストレスを感じたときどんなことをしたり考えたりするとストレスが軽減されるか、リスト形式にして書き出します。目標は100個。たとえば「しりあがり寿のマンガを読む」「カレーを作る」「自転車を思いっきり漕ぐ」「空を眺める」「子供の頃の思い出をなぞる」「宇宙旅行を想像する」など、どんなささいなことでもかまいません。

一方でストレスを感じたら、それがどのような種類のストレスでこころやからだがどう反応したかを記録します。

そしてストレスと軽減手段の組み合わせを試してみます。こころの反応が現れやすい我慢によって生まれたストレスなら発散行為を、からだの反応が現れやすい頑張りによって生まれたストレスなら癒し行為を、当てはめてみるとよいでしょう。これを徹底的に繰り返すことで、自分にとって効果的な組み合わせを絞り込んでいきます。
最終的にはどんなストレスのときにこうすれば解消できるというパターンをいくつか体得することで、ストレス耐性を高めることが可能となります。

 

マインドフルネス

マインドフルネスは瞑想を取り入れたストレス耐性の強化法です。「新世代の認知・行動療法」について医療現場での効果的な活用をめざした研究を行っている早稲田大学・熊野宏昭教授は、たとえばこんなマインドフルネスの実施方法を提唱しています。

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最初は、10~15分を目安に始めます。
(1)背筋を伸ばして、両肩を結ぶ線がまっすぐになるように座り、目を閉じる
(2)呼吸をあるがままに感じる
(3)わいてくる雑念や感情にとらわれない
(4)身体(に意識をフォーカスし、からだ)全体で呼吸するようにする
(5)身体の外にまで注意のフォーカスを広げていく
(6)瞑想を終了する

▲出典:NHKスペシャル「シリーズ キラーストレス」第2回ストレスから脳を守れ~最新科学で迫る対処法~2016年6月19日放送

 

マインドフルネスはもともと自分と自分の周りに起きていることに意識を集中するためのトレーニング方法として誕生しました。人生の、生活の瞬間瞬間の集中力を高め、出来事の本質を知覚し、迷いを消し去る、仏教用語の「悟り」に近い境地を得るための手法と言われています。これだけを読むとスピリチュアルな雰囲気に胡散臭さを感じる方がいらっしゃるかもしれませんが、脳の機能と関連付け医療に役立てる研究が進んでいます。

現代人は過去の苦しみや未来の不安を再生し、意識が過活動状態になりやすい傾向があります。これが神経に疲労を与え、ストレスとなって蓄積されます。

ストレスを感じると脳の扁桃体が反応し、副腎皮質から「コルチゾール」というホルモンが分泌されます。すると脳の活動が低下したり、不眠状態になったりし、うつ病へ発展することがあります。また免疫力の低下や筋肉・骨量の減少、コラーゲンの低下なども生じます。さらに記憶力をつかさどる海馬が委縮し、アルツハイマー病を発症することもあります。

マインドフルネスはこの「コルチゾール」の分泌を抑える効果があるとされています。扁桃体の過剰な反応を抑え、海馬の委縮もくいとめることができるといわれています。

現在に意識を集中させ、自分の言動や行動から迷いや後悔が減っていくマインドフルネスは、ストレスに強いこころを作ります。

 

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腸内フローラ 悪玉菌 

 

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